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土下座事件のような悪質クレームに対応する方法

このブログでは私がこれまでのコールセンタースキルを活かし、クレーム対応に関するノウハウを公開しています。

 
と、偉そうなことを言っていますが、何を隠そう私も相当なクレーマーです。おかしい!と思ったことがあるとすぐに電話かけちゃいます。
 
でも、コールセンターに勤めている人は多いんじゃないかな、クレーマー
 
実際のクレーム対応でも「僕もね、コールセンターで働いているからわかるんだけどさ」というような発言をなさるお客さまと何度もお話ししたことがあります。
 

正当クレームと不当クレーム

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クレームにはお客さまが真に嫌な気持ちになったり、不利益を被ったことに対する正当なクレーム(要求)と、お客さまの利得自体を目的とした不当なクレームとがあります。
 
たとえば昨今、話題になっている土下座事件。企業側の落ち度によっては土下座くらいしてもらわないと気が済まない!という気持もわからなくありません。
 
しかし、おもしろがって写メを撮ったり、SNSに投稿したりしているところをみると、真に嫌な気持ちになっての要求ではなく、自尊心を満たすためのものだということがわかります。つまり、不当クレームです。
 
こうした不当クレーマーに対して企業は毅然とした態度で臨まなければなりません。
 
…とまあ、ここまではよくいわれていることですよね。では「毅然とした態度」とはどういったものなのでしょうか。
 

悪質なクレーム対応は法律を味方につける

土下座事件で有名になりましたが、土下座をさせることは刑法第223条の強要罪にあたります。
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
よく「誠意を見せろ!」とかで、土下座をするシーンが漫画などで出てきますが、立派な犯罪です(カイジに出てくる焼き土下座は言うまでもありませんね!)。
 
なので、こうした要求には全く応じる必要はありません。で、このとき最初に「毅然とした態度」で対応することが大事なのです。
 
トーク例がこちら。
 
あ、ちなみに土下座の前にあった根本的なクレーム自体が正当なものか、不当なものかによって少し言い方が変わります。
 
(当初のクレームが正当なものであった
 場合)
「お客さまにご不快なお気持ちをさせましたことは本当に申し訳なく思っております。大変、申し訳ございませんでした。土下座をしろ、とのことですが、こちらはどうかご容赦くださいますようお願いいたします。」
 
(当初のクレームから不当なものであった場合)
「恐れ入りますが、謝罪および土下座につきましてはお断り申し上げます。」
 
はい、これだけです。
 
当初のクレームが正当なものか、最初から不当なものであったかで、少し言い方は変えます。ただ、いずれの場合も断固として土下座は断ります。
 
もし、「なぜしないんだ」「迷惑かけていると思ってるなら、土下座しろ」と言われた場合は次のように言いましょう。
 
(当初のクレームが正当なものであった
 場合)
「お客さまのお気持ちに対してはこの謝罪が精一杯のものです。これ以上のご要望には沿い兼ねますことをどうかお許しください。」
 
それでも要求が続いた場合は
 
「恐れ入りますが、これ以上の謝罪につきましてはお断り申し上げます。」
 
と言いましょう。
 
そして、正当クレーム、不当クレームともに、それでも要求が続くようであればこう言います。
 
「大変残念ですが、これ以上わたくしどもから申し上げることは何もございません。どうぞお引き取りください。」
 
ちょっとキツイようにも思いますが、ここで少しでも同調したりすると、相手に付け入る隙を与えてしまいます。あくまでも丁寧に、かつ厳しい表情で淡々と伝えましょう。
 
さらに要求が続いたり、帰ってくれない場合は刑法第130条の不退去罪にあたります。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
まず、謝罪のための土下座要求は正当な理由にあたりません。お引き取り願ったにも関わらず、その場に居座ったり、不当な要求を続けたりした場合は不退去罪になるのです。
 
これを告げるときはこんな感じのトークでいきましょう。
 
「再三のお願いにも関わらずこのような行為をお続けにるようであれば、大変不本意ではございますが、警察署へ連絡いたします。」
 

そもそも誠意とは何か

こうした不当要求はだいたいが「態度が悪く腹が立った」や「精神的苦痛を味わった」といったところから発展します。
 
そして、「ただ謝るだけじゃ納得できない。誠意を見せろ。」と続き、最終的には金銭の要求か、土下座のような自尊心を満たすための要求へと変わります。
 
もちろん、お客さまに何か不利益を与えてしまい、それが金銭で換算できる場合は、お金で償わなければいけません。これは民法第709条で決められています。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
もし自社の製品で相手に傷害を負わせた場合は治療費や、休業損害、慰謝料などをお金で賠償しなければなりません。
 
しかし、たとえば「態度が悪い」というクレームであった場合は、どこにも損害が発生していないため、法律上の損害賠償責任は無いわけです。
 
つまり、企業側ができることはせいぜいお客さまが不快に思ったことに同調し、お詫びをすることくらいです。
 
ちなみに民法上の損害には精神的損害も含まれています。相手が精神的損害を被った、ということであれば、それを慰謝料として支払う必要があります。
 
だからといってすぐにお金で解決する必要はありません。そもそもその損害に相当因果関係があったのか、つまり本当に企業側の行動がその人の精神的損害に結びついたのか、が立証されなければ、慰謝料を支払う義務はないからです。
 
簡単に言ってしまえば、「精神的苦痛を負った!」という人で、丁重なお詫びをしているのにも関わらず、不当要求を続ける人には「どうぞ、それなら裁判を起こしてください」というスタンスで構わないということですね!
 

お客さまと見るか悪質クレーマーとみるか

ここまで書いておいて最後に言うのもあれですが、世の中土下座事件の犯人のような悪質クレーマーの方がまれで、実はほとんどのクレーマーは正当な要求をしています。
 
一番危険なのが、そうした正当な要求を言葉や態度だけで判断し、悪質クレーマーだと早々に決めつけてしまうことです。
 

kimochinabe.hatenablog.com

 

こちらの記事でも書いたように、大事なことは言葉の裏にどんな不満があるのか、どうしてそのような感情になってしまったのかを責任をもって聴くことです。

 
「ばか」「死ね」「土下座しろ」これらの発言は恐怖を感じ、とても落ち着いて対応ができるようなものではありません。しかし、コールセンターの第一目的は「お客さまの話に親身になって耳を傾ける」ことです。それをせず、相手の一時の感情をそのまま受け取るようなことは絶対にしないでください。
 
明日からのあなたのクレーム対応が良いものとなりますように。
 

※クレームの対応の個別相談も承っています。 コミュニケーション検定上級資格保持者がクレーム対応のコツ伝授します。